2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
具体例としては1万円で車を特定の株主に贈与した場合などがあげられる。
株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
利益を返還すべきと規定している理由
禁止される利益供与を目的とする契約(贈与契約、売買契約等)は、公序良俗に反し、または強行法規に反することで無効となる。
↓とすると
禁止される利益供与を受けた者は、不当利得(民法703,704)としてこれを返還しなければならない。
↓しかし
利益供与者(会社)が債務の存在しないことを知っていた場合には、非債弁済となり返還請求はできない。
また、利益供与が不法原因給付となれば、これも返還が請求できなくなることが考えられる。
↓そこで
これらの民法の規定にかかわらず利益の返還を請求できるようにするために会社法120条が存在する。
通常の不当利得において、善意の受益者は現存利益の返還義務を負うとされているが(民法703)、120条3項の利益の返還義務については、利益供与を受けた者が善意、すなわちその利益供与が会社法120条1項で禁止されたものであることを知らない場合であっても、利益を全額返還しなければならないと解されている。
現存利益の返還だと、会社資産に穴があいたままになり、120条の趣旨である会社財産の浪費を防止することを達成できないと考えられたため。
利益供与を受けた者に対する利益の返還を求める訴えは株主代表訴訟の対象とされている(847条1項)
これは、会社は自ら利益供与をしておきながら、その返還を積極的に求めるとは通常考えられないため。
↓したがって
損をした株主が訴えれるようにしておく必要がある。
というか、総会屋って怖い人達じゃ…?
訴えを起こす勇者っているんだろうか?
会社も総会屋対策として株主総会は同じ日に一斉に開催してるし。